マーケティング部門新設の舞台裏、副業人材の伴走がもたらす新たなナレッジと社員の成長
オムロン ソフトウェア 株式会社
- 事業内容ソフトウェア開発
- 従業員規模500人以上
- 採用職種マーケティング
ハイレベルなスキルを持つ人材やフリーランスが、副業/兼業先を探すことができる「クラウドリンクス」。転職を意識しているが、実際には転職活動を行っていない転職潜在層にアプローチできると多くの企業様にもご活用いただいています。 今回は、クラウドリンクスにてマーケティング部門新設にあたってマッチングに成功したオムロン ソフトウェア株式会社 宮城様(写真左)と、マッチングしたワーカーの株式会社LIXIL 片所様(写真右)のお二人にお話を伺いました。
知見ゼロからのスタート、マーケティング部門の新設
お二人の現在の業務内容や、役割について教えてください。
宮城:
オムロンのグループ会社であるオムロン ソフトウェア株式会社は、駅の自動改札機や券売機、銀行ATM、クレジットカード決済端末、ヘルスケア機器、ファクトリーオートメーションなど、社会性・公共性の高い事業にてソフトウェア技術提供や開発・サービス提供を行っています。 その中で私は、ITソリューション事業の企画とマーケティングを担当しています。社内にはマーケティング経験者もおらず、私自身もノウハウがないところからスタートしています。
片所:
本業のLIXILでは、マーケティング部門でデータサイエンスチームを率いています。副業は4年前から始めましたが、データサイエンティスト、コンサルタント、マーケターとしての経験を活かし、様々な企業に参画しています。
宮城さんが副業人材を受け入れようと思われた経緯について教えてください。
宮城:
当社は元々、オムロングループからの受託が9割を占めていましたが、安定した経営基盤を築いていくために、オムロングループ以外の新規顧客開拓に注力し始めました。そこで、必要になるのがマーケティング部門の新設です。 部門新設にあたって心配していたのは、型通りのやり方で上手くいくのかという点です。例えば、コンサルタントの方は一般的なマーケティングのフレームに当てはめようとするイメージがあり、それが果たして私たちの事業体にマッチするのか、どこか釈然としない印象がありました。 必要なのは今の事業コンディションやWillを尊重し、当社向けに最適な型へカスタマイズしてくれる伴走者です。そこで昨年初めて、オムロングループで推進している副業人材の受け入れを検討し、クラウドリンクスで副業人材を募集しました。 片所さんへ依頼した内容は、マーケティング部門の新設に向けた全般的な支援です。上位構想や全体戦略など抽象的な情報を咀嚼し、担当者が共通意識をもって走り出せるよう具体化してくださる点は、有識者であるのと同時に即戦力である片所さんの魅力です。
副業人材だからこそできた、スピードと柔軟性を兼ね備えたプロジェクト
副業人材を受け入れる際の懸念などはありましたか?
宮城:
運がいいことに、特にありませんでした。 片所さんは最初から「分からないことや、どうなりたいかを言ってくれたら一緒に考えますから」という風におっしゃってくださって、コンサルというよりカウンセリングに近い印象でした(笑)。 当社は長年、ソフトウェア開発をしてきた企業で、第三者に委託するとなると”作業”の委託となり、こちらが要件を決めてから依頼する必要があると思い込んでいたため、「要件」ではなく「要望」でいいんですというスタンスはありがたかったです。
一方、片所さんはどういった背景でこの求人に応募されましたか?
片所:
今までの経験上、STP、MA、SFA、CRMといったマーケティングサイクルをきちんと回せている会社は多くありません。そこに対して自分なりの知見を伝えていきたいと思っていたところ、「マーケティング部門新設」という募集票を見て、やってみたい!と感じたのが応募の動機でした。せっかく副業で関わるなら、まだ“型”が決まっていないフェーズにチャレンジしたいと感じたのもありますね。
コンサルティングとは異なる、現場に寄り添った新たな伴走型支援の形
日々の業務はどのように進めていますか?
宮城:
基本は外部共有できるTeamsを使ってチャットやファイルの受け渡しをしています。 ミーティングは不定期で、テーマに応じて対面やオンラインで行っています。打合せ前には事前情報として資料を使った動画を送ってくださったり、ある議題についてワークショップを主催してくださるなど、日々の業務以外にも関係者との意識合わせや情報整理を円滑に進める工夫を取り入れてくださっています。やはり限られた時間でもコミュニケーションを密に取れるのは、チャットによる日々のやり取りが出来たことが大きく、伴走型の支援をいただいている感覚は強いです。
例えば、どのような質問や相談を受けていたのですか?
片所:
戦略や構想などは抽象度が高いので、抽象から具体への通訳をするような相談が多かったです。また、社内のステークホルダーに対する提案方法についても客観的な意見を伝えました。例えば、「あの人には図解で伝えよう」とか、「この人には結論から定量的に数字で話そう」とか。
社外から見て、そこまで社内の情報ってわかるものですか?
片所:
むしろ、社外という立場だからこそわかるのかもしれません。関係性の上下や左右などは、社内から見ると周囲の評価などのバイアスの影響を受けてしまうこともあると思うので。
宮城:
片所さんは企業にお勤めで組織の中にいらっしゃるので、物事を決める際にどの役職の方がどういう視点で関与し、合意形成に向けてどう動けばいいのかよくご存じで、交通整理してくださったのは大変助かりました。マーケティングの機能や役割を考えるうえで大切なのは、私たちに欠けている論理的・客観的視点でした。そこに片所さんが参画してくださり、全体的な流れを一緒に描けたことで、すべてが前に進み始めました。
副業人材に伴走してもらうことで、社内に蓄積する新たなナレッジ
当初期待していた成果以外にも、副業人材受け入れならではのメリットはありましたか?
宮城:
今年からは、営業担当も片所さんと個別に週次ミーティングをするほど、片所さんを巻き込んだマーケティング知識の共有が広がっています。特に、今年は事業ごとの縦割り体制から職種ごとの横割り体制に変わり、営業担当は外販を強化する商材の領域が広がりました。そこで営業としても、今までの自部門の商材を売るだけに留まらない外販の方法を考えていく必要があったため、片所さんを巻き込んで一緒に検討していくような流れができました。
片所さんから見て、副業のメリットはどうですか?
片所:
副業のメリットは、外の世界を見ることができる点です。昔に比べれば転職も当たり前になりつつありますが、まだハードルが高い。副業という形で自分の会社以外で何が起きているのかを直接体験し、知ることができるのは、本業にも活きる大きなメリットだと思います。人によっては報酬がメリットになるかもしれませんが、個人的なポリシーとして「タダでもやりたいと思うか?」という観点を重視しています。極端な例を出すなら体裁が綺麗なレポートだけ出して高い報酬を得る仕事もあるかもしれませんが、それは付加価値として自分が納得できないんですよね。こうした自分なりのポリシーを持っておくと、副業を進める中で迷いが減ると思います。
今後の展開について教えてください。
宮城:
入口はマーケティング部門の新設に向けたサポートだったのですが、枠組みを作った後もそれが狙った通り機能するかどうかは分かりません。今後も様々な障壁があると思いますので、マーケティングが企画や開発、営業など周辺の役割とも接点を持ちながら横串で連携していけるよう引き続き伴走していただきたいですね。もちろん、将来的には伴走無しで自走できることを目指していきます。
片所:
何が目的か、というシンプルな部分が意外と抜けてしまうことは多いですが、マーケティングの目的は”仕事を取る”という点に尽きます。すでにある成功モデルの通りに進めないといけないと思っているケースが多いですが、そこが本質ではありません。最初から完璧を目指さずに実践を通じて失敗を経験する方が、組織として学びの量が多いので、最小限の失敗をいかにうまく経験できるか、という観点で今後も伴走しようと考えています。
新規性・抽象度の高い課題を解決する副業の可能性
副業人材の受け入れ、または副業開始を検討している方々へのメッセージをお願いします。
宮城:
外部企業への委託ではできない形で仕事を依頼できます、というのが一番お伝えしたい点です。「要件」ではなく「要望」でいいんです。今回のケースでいうと「マーケティング部門を立ち上げたい」ではなく、「こうしたい、こうなりたいからマーケティング機能の強化が必要だと感じている」というWillやビジョン、課題を正直に伝えること。Willを言語化するって本当に疲れる作業ですし、伝えたとしても「通常で言ったらこのスピードでは厳しいので、違うアプローチにしましょう」と経験に基づいた提言をされ、前提すら違っていることに気づかされることもあります。制約や条件など譲れないところは押さえつつ、よりよい方向を一緒に模索することができるのは、副業人材ならではじゃないでしょうか。
片所:
素直さとチャレンジ精神の大切さを伝えたいです。副業先でわからないことが出てきたときに、それを受け入れて学んでいく姿勢が成長や信頼につながると感じています。自分はこういうスキルを持っていて、こういうことが得意、のように自分で決めた枠にとらわれず、素直にチャレンジ精神を持って副業をした方が、得るものが大きいと思います。
オムロン副業受入事務局からのメッセージ
最後に、オムロン副業受入事務局にお伺いします。企業側が副業受入れによる成果を出すためにはどのようなことが必要だと思いますか?
オムロンでは2021年より外部から副業人材の受入れを開始し、これまで約70名ものハイスキル人材を受け入れてまいりました。その中で、成果が出ているプロジェクトには3つの共通点があると考えます。 1つ目は、受入れ部門のスタンスです。狙った成果を出すために必要な情報は適切に提供し、パートナーとして信頼関係を構築しようとするスタンスが必要です。自走的に業務が進むわけではないため、副業人材のスキルをフルに活かすためにはこのプロセスが必要不可欠だと思います。 2つ目は、副業人材の方のスタンスです。現場に寄り添い、共に目標達成・課題解決に奔走してくださる方は、コンサルティング視点の正論だけではなく伴走してくださるビジョンが持てるため、部門側の期待も高まります。 そして最後は、コミュニケーション&フィードバックです。これは受入れ後のアンケートから分かったことなのですが、バックボーンや価値観の違う二者が協働関係を維持し続けるためには方向性を常に確認しあい、軌道修正や路線変更を行いながら環境変化に追従していくことを一連のサイクルとすることがとても大切だと感じています。
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